インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

カタラン予想の簡単な場合

この記事では正の整数のことを自然数と呼ぶことにします。記事

integers.hatenablog.com

で証明したEuler-Legendreの定理を思い出します。

定理 (Euler, Legendre) 方程式
x^3+y^3=2z^3
が整数解を持てば、x=yまたはz=0が成り立つ。

今回はこの定理から簡単にわかる帰結を紹介します。次の定理は以前紹介した

integers.hatenablog.com

とは対照的な結果です。

定理 自然数の立方数であるような三角数は1しか存在しない。

証明. 自然数の立方数であるような三角数が存在すれば、自然数n, mを用いて

m(m+1)=2n^3

が成り立つ。mが偶数であれば、m=2kとおいて

k(2k+1)=n^3

となる。(k, 2k+1)=1であるから、自然数a, bが存在してk=a^3, \ 2k+1=b^3が成り立つ。つまり、

b^3-1=a^3

が成り立つので、Euler-Legendreの定理に矛盾する。よって、mは奇数であり、自然数kを用いてm=2k-1と書く。すると、

(2k-1)k=n^3

であり、(2k-1, k)=1であるから、自然数a, bが存在して2k-1=a^3, \ k=b^3が成り立つ。つまり、

a^3+1=2b^3

が成り立つので、Euler-Legendreの定理よりa=1、すなわちk=m=n=1でなければならない。 Q.E.D.

このことから、Catalan予想の非常に弱い場合が証明できます。Catalan予想については

tsujimotter.hatenablog.com

を参照してください。

定理 x^2-y^3=1が自然数解を持つならば(x, y)=(3, 2)である。

証明. x^3-y^3=1が自然数解を持ったと仮定する。もし、xが偶数であれば、(x-1, x+1)=1なので、

(x-1)(x+1)=y^3

から、自然数a, bが存在してx-1=a^3, \ x+1=b^3、すなわち、

b^3-a^3=(b-a)(b^2+ab+a^2)=2

が成り立つので、b^2+ab+a^2 \mid 2が得られる。これは明らかに起こりえない。よって、x3以上の奇数であり、yは偶数なので、自然数m, nを用いてx=2m+1, \ y=2nと書ける。このとき、

(2m+1)^2-1=8n^3

\displaystyle \frac{m(m+1)}{2}=n^3

と書き直せ、m=n=1が従う。これはx=3, y=2を意味する。 Q.E.D.