で番目の素数を表します。素数の分布に真に迫るのは大変に難しいことですが、「素数を式で表す」だけなら簡単です*1。この記事はそんな公式達を紹介する第一弾です。
定理 (Regimbal, 1975)
が成り立つ。
が成り立つ。
補題1 に対して関数をと定める。このとき、が素数ならば、が合成数ならが成り立つ。
証明. より、の値はかであることに注意する。
であるから、となるための必要十分条件はなるが一つだけであることがわかる。この条件はすなわちが素数であることに他ならない。 Q.E.D.
命題1 素数判定関数をと定める。このとき、ならばが成り立つ。
証明. 補題1より刹那に従う。 Q.E.D.
次に番目の素数が出現した際に、その値を返す機械を作製しましょう:
命題2 を固定し、とする。このとき、が成り立つ。は以下の素数の個数を表す。
証明. まず、
が成り立つことに注意する。よって、が成り立つための必要十分条件はである。そうして、
が得られるので、両辺をばいすればよい。 Q.E.D.
補題2 .
証明.Bertrandの仮説からわかる。 Q.E.D.
定理の証明. 命題2及び補題2より、
がわかる。あとは
であることに注意すれば、補題1及び命題1より定理が得られる(のときは直接確認できる)。 Q.E.D.
「番目の素数を表す公式は存在しない」と主張する人と対面したときのみ役立つ定理です。
*1:番目の素数を上から押さえるところだけ非自明な結果を使います。ただ、深い結果を使えば使うほど無駄がなくなるだけであって integers.hatenablog.com で紹介したでも良いです。