Jordanのトーシェント関数は次のように定義されます:
と書けば素数です。
のときEulerのトーシェント関数
に一致します(
)。名前についているJordanはJordanの曲線定理などで有名なあのJordanです。
定義から、であり*1、
のとき
は常に偶数であることがわかります。Jordanのトーシェント関数はEulerのトーシェント関数およびMersenne数の同時一般化とも言えるでしょう。
および
の
における値は次のようになっています:
:
は次の式で特徴付けられます:
証明. Jordanのトーシェント関数の定義から
なので、 メビウス関数 - INTEGERSのMöbiusの反転公式(その一)から所望の等式が従う。 Q.E.D.
Dedekindの関数
はJordanのトーシェント関数で
と書けます。これを受けて、一般化Dedekind-関数は次のように定義されます:
:
:
および
の位数
および
の位数はJordanのトーシェント関数で書けます(Jordan自身が証明):
のときを考えると
の一般化と思えます。この節では、この定理の証明を解説します。
証明. の元を
列の列ベクトル
を用いて
と表す。このとき、
としては
ベクトル以外の
通りのベクトルがあり得る。
を固定して考えると、
として取り得るベクトルは
の定数倍を除く
通りの候補がある。次に、
を固定して
として取り得るベクトルは
と
の
線形結合として書けるベクトルを除く
通りの候補がある。後は推して知るべし。 Q.E.D.
証明 準同型写像
を各成分をする写像とする。また、
を
で定める。は単位行列。
ならば
なので、
は乗法群をなす。また、定義より
は容易に分かる。さて、完全列
があるので、補題1および①より
を得る。また、完全列
から
と計算できる。 Q.E.D.
定理の証明. と素因数分解されているとき、中国剰余定理
から自然な同型
および
が得られる。よって、補題2より
と計算できる。 Q.E.D.
Riemannゼータ値の公式
Jordanのトーシェント関数および素数階乗
を用いたRiemannゼータ値の公式を紹介してこの記事を締めくくりたいと思います:
証明. 自然数を
,
- 最大の素因数が
,
- 最大の素因数が
,
- 最大の素因数が
,
…
と分類して足し合わせていくことにより、
と変形できる。一方、等比級数の和の公式により
と変形できる。組み合わせれば所望の等式が得られる。 Q.E.D.
*1:空集合上の積はと定めます。