はを並び替えてできる素数の一つですが、がに近いという事実は覚える価値があります:
Ramanujanは
と書けることに着目して次のような作図を提唱しています:
- は円の直径.
- は弧の中点.
- はをに内分する点.
- .
- .
- はに平行.
- はに平行.
- で.
このとき、Ramanujan曰く「との比例中項は円周の分のに非常に近い」。
実際、とすればであり、.
よって、. .
よって、との比例中項はとなる。
以前紹介したShanksの恒等式
はWilliam G. Spohn, Jr. によって次のように拡張できることが指摘されています:
のときがShanksの恒等式になっています。他には、例えばより
が得られますし、より
が得られます。
、と言えばピンとくるものがありますよね。
私がフリーハンドで描いた次の芸術的な図をご覧ください(GeoGebraで描き直しました):
このとき、Ramanujan曰く、「は円の面積に非常に近い」(1914年)。
としてみましょう。勾股弦の定理を使っていけば計算できます*2。まず、を求めると. よって、. これより、
よって、、.
.
従って、
すなわち、は密率
になっていることが分かりました。密率については
をご覧ください。
実は密率に現れるとにはが
という形で関わっており、それを上手く作図化したというわけです。見事。
*1:は上にはない。
を約数総和関数とするとき、が成り立つような正整数のことを完全数というのでした:
integers.hatenablog.com
をの正の約数とするとき、が基準約数であるとは、とが互いに素であることと定義します。
例) なので、やはの基準約数ではないが、やはの基準約数である。
の類似として、の基準約数の総和をと定義します。
例)の基準約数はなので、が成り立つ。
であり、についてはと素因数分解することによって
が成り立つことが分かります(約数の素因数の指数がより小さいとそれは基準約数ではない)。よって、は乗法的関数です*1。
この基準約数という概念を用いて、基準完全数が定義されます:
知られている基準完全数は全部で五個です。
一つ目
二つ目
三つ目
四つ目
五つ目
基準完全数は有限個しかないと思われていますが、未解決問題です。一方、奇数の基準完全数が存在しないことは簡単に証明できます:
証明. 奇数の基準完全数が存在したと仮定する。と素因数分解されているとすると、
が成り立つ。は奇数なので、左辺はで割り切れるがでは割り切れない*2。は偶数なので、でなければならないことがわかった。すると、
ということになるが、それはと言っていて矛盾。 Q.E.D.