という整数について、これまでに二つ記事を書いたことがあります。
今日は更に二つほど紹介しようと思います。
Ramanujanの公式
Ramanujanの発見した次の公式にが登場します。
証明. は素数をわたるものとして、Riemannゼータ関数のEuler積表示と特殊値を利用すれば
と計算できる. Q.E.D.
Erdősの予想
は全て素数であり、このような性質を持つ最大の整数がであろうという予想です。
ちなみに、も絶対値が素数だったりします。
この予想は
P. Erdős, On integers of the form and some related questions, Summa Bras. Math., 2 (1950), 113-123.
の3ページ目に述べられています。この論文でErdősは例えば次の定理を証明しています。
証明. は十分大きい整数とする。をであるような十分増加速度の遅い実数値単調増大関数とし、を
と定義する(は素数)。を
を満たすようなの個数とする。このとき、
が成り立つことがわかる。を固定する。すると、であればが成り立つので、を法としてと合同な以下の素数の個数をで表すと
が成り立つことがわかる*1。さて、とは互いに素なので、をEulerのトーシェント関数として
とを定義すると、W-トリックの補題および算術級数の素数定理より
がわかる。よって、であれば、或る正の数が存在して
が成り立つ。トーシェント関数の公式とMertensの第三定理より
であり、Chebyshevの定理より
なので、或る正の数が存在して
がわかった。従って、①・②より或る正の数が存在して
が成り立つ。故に、鳩ノ巣原理によってなる正整数が存在して
でなければならない。つまり、を満たすようなが無数に存在することが示された*2。 Q.E.D.
Erdősは実際にはと取れることまで示していますが、そのためには準備が必要になるのでここでは紹介しません。
余談
最近知ったとある伝説がかっこいいなあと感じたので書いておきます。飛騨山脈北部立山連峰にある剱岳(標高2999m)の記録に残る初登頂は1907年7月13日(測量隊の生田信ら)らしいのですが、その際、錆び付いた鉄剣と銅製の錫杖が発見され、当時の鑑定ではこれらは奈良時代後半から平安時代初期にかけて登頂した修験者のものだそうです(Wikipediaより引用)。この伝説の修験者、かっこよすぎる。