Ramanujanの関数シリーズがしばらく続いています。
で次の定理を紹介しました:
の乗法性から絶対値が素数になるような
をサーチするには
が素数冪のときだけを考えれば十分ですが、最小である
が素数の二乗であったことは偶然だったのでしょうか?例えば、
が素数となるような素数
は存在しないのでしょうか?
691:ラマヌジャンの発見した驚くべき合同式 - INTEGERSの最後に紹介したように、
が全ての奇素数に対して成り立つので、と合わせて
ことが分かります。一方、次の予想があります:
とりあえず、この予想を無根拠に信じることにしましょう。つまり、我々の目標を
「が奇素数であるような
を見つけたい」に変更します。すると、次の補題から最小の例が素数の二乗であったことが偶然でないことが分かります:
証明. の乗法性から
が奇素数冪であるときに調べれば十分である。
を奇素数とする。このとき、
は偶数であり
は奇数であることを数列τ(n)に関するRamanujanの予想 - INTEGERSで紹介した漸化式
を用いてに関する帰納法で証明する。まず、
が偶数であることは既に述べた。また、漸化式より
なので、が奇数であることがわかる。そうして、漸化式より(
が偶数であることに注意して)
が成り立つので帰納法が進むことが分かる。 Q.E.D.
それでは、が素数になるような数値例を少しだけ見てみましょう:
絶対値ではなく、そのものが素数であるものに興味を置くと、
が最小のものであることが分かります。これは素数の四乗が現れる最初の例という特徴も持ち合わせています。
知られている最大のもの(の候補*1)はで
桁だそうです(N. Lygeros and O. Rozier (Sep. 2015))。
*1:probable primeの可能性あり。