§4 Uniformity norms, and the generalized von Neumann theorem ではGowers一様性ノルムを定義して一般化von Neumann定理(Thm 3.1)を証明します。
証明. 左辺は
であり、右辺は
なので、とすることにより両者が一致することがわかる。 Q.E.D.
関数 に対して-Gowers一様性ノルムを次のようにして帰納的に定める:
は次のような明示的表示を持ちます:
証明. 定義式とvan der Corputの補題より
と計算できる。 Q.E.D.
よって、ならば-Gowers一様性ノルムは非負値を取ることがわかります。
証明. に関する帰納法で証明する。のときに成立すると仮定すると
なので、示すべきことは
である。これはCauchy-Schwarzの不等式から従う。のときも基本事項1より-Gowers一様性ノルムは非負値なので、三角不等式によって①が成立している。 Q.E.D.
注意: はのときに実際にノルム性質を満たすことが知られています。あとで使う非退化性
のみ示しておきます。
証明. 基本性質2によって、のときに示せば十分。と仮定すると、定義と基本性質1によって任意のに対して
である。特に、の場合を考えることによって
であり、これは を示している。 Q.E.D.
証明. に関する帰納法で示す。基本性質1と三角不等式により
との場合に成立することがわかる。で成立すると仮定すると、
とのときも成立することがわかる。 Q.E.D.
よって、が有界であれば であることがわかります。
証明. の場合は積分のシフト不変性より従う。一般の場合は
に注意して帰納法。 Q.E.D.
証明. のときは基本性質1より成立することがわかる。一般の場合は帰納法。 Q.E.D.
が素数なので、の逆元が存在することに注意します。
証明. 基本的にはにおける倍写像が全単射であることから従うが、帰納法のステップにおいて
が成り立つことを使う。 Q.E.D.
証明. 任意のに対して連立方程式 が解を一意的に持てばよい。これは、の行列式 がでないことからわかる。 Q.E.D.
それでは一般化von Neumann定理を証明しましょう。
証明. に関する帰納法で証明する。の場合、補題より
なので、基本事項1より
を得る(最後の不等号には が有界であることを用いる)。これでの場合に示されたので、としてで成立すると仮定する。番号を適当に入れ替えることにより
であると仮定してよい。積分のシフト不変性とシフト作用素の基本性質によりを考えることによってと仮定しても一般性を失わない。このとき、であり、の足す順番を全単射 で入れ替えることによって であると仮定してもよい(入れ替えた際、と置き換えれば仮定はちゃんと満たされている)。よって、示すべきことは
である。ここで、和の順序を入れ替えてでくくっていることに注意。期待値は毎に計算される*1。更に、Cauchy-Schwarzの不等式より
なので、の有界性より結局
を示せばよい。を固定するとき、van der Corputの補題(変数に対して適用)とシフト作用素の基本性質より
と計算できるので、和の入れ替えにより
を得る。に対しては有界なので、帰納法の仮定により
が任意のに対して成立する(であった)。従って、三角不等式より
となり、Gowers一様性ノルムの定義によって②は
に帰着される。これはHölderの不等式*2の特殊なケースに他ならない(或いはCauchy-Schwarzの不等式の繰り返し)。 Q.E.D.
*1:でくくるための作業。今後、点毎に期待値を返す関数としての表記を断りなく使う。
*2:よく知られたHölderの不等式より、が非負値でであれば、適当な有限集合上でが成り立つ。