をposetとする(反射律・推移律・反対称律を満たす)。が局所有限であるとは、任意のに対してが有限集合であるときにいう。
局所有限なposet に対して、Möbius関数 を
が成り立つように定義する(に対してのみを定義する。はKroneckerのデルタ。well-defined)。
定理 (Möbiusの反転公式) を局所有限なposetとし、を関数とする。このとき、が有限集合であるような に対してが成り立つこととが成り立つことは同値である。
証明. が有限集合であるような をとって固定する。とする()。横ベクトル, -行列を
と定義する。ここで、
である。
なので、に対する主張の同値性をだけではなく全てに対して同時に考えたものは
という同値性で表すことができる。これはとが逆行列の関係にあれば成立するが、実際
なので証明が完了する。 Q.E.D.
(正整数全体集合)のときを考える。整除関係によって順序を与えると、であるとき
が成り立つ。ここで、右辺のは通常のMöbius関数である。過去記事
実際、過去記事の補題1より、
が成り立っている。従って、この場合の定理は過去記事のMöbiusの反転公式(その一)を与える。
次に、通常の大小関係によってに順序を与えると、正整数に対して であり、であれば 、であれば ()がわかる。よって、定理は数列に対して
となり()、これは望遠鏡和に他ならない。