Ruizの恒等式 を非負整数、を任意の実数とする。このとき、が成り立つ。
証明. に関する帰納法で証明する。
とおく。である。であると仮定して、を示せばよい。
より、は定数であることがわかる。従って、
を得る。 Q.E.D.
Ruizはこの恒等式を用いてWilsonの定理の別証明を与えていますが、Lerchの合同式の別証明を与えることもできます:
integers.hatenablog.com
補題1 を素数とし、をを満たす非負整数とする。このとき、が成り立つ。ここで、は第調和数。
証明. より分かる。 Q.E.D.
補題2 を素数とする。このとき、が成り立つ。
証明.
Q.E.D.Lerchの合同式の別証明
を奇素数とする。Ruizの恒等式において、とすると、に注意して
を得る(二つの補題を用いた)。これより、
が従う。 Q.E.D.
私はこの証明は得意というか或る意味で自然だと思う一方で、実際やってみたらLerchさんの証明の方がエレガントだなと悔しい気持ちもあります(笑)。