半素数の記事でを導入しましたが、
を
以下の相異なる二つの素数の積として表せる数の個数とすると
が成り立つため314:半素数 - INTEGERSで示した漸近公式より
が成り立つことが分かります。実はこれは次のように拡張されます:
この定理の証明は紹介しませんが*1、Ramanujanは素数定理を用いることなく、初等的な手法で次の不等式を証明しています*2:
証明. の場合はChebyshevの定理より
によらずに成立することがわかる。さて、Mertensの第一・第二定理
メルテンスの第一定理 - INTEGERS
メルテンスの第二定理 - INTEGERS
より、ある定数が存在して
が成立する(証明をよく見直せば全てので言えることがわかる)。このとき、
を満たす
に対して主張が成り立つことを
に関する帰納法で証明する。
なる素数
に対して、
以下の自然数であって
と書ける数をカウントする。ただし、は素数で、
を満たすものとする。このような数の個数は
を超えない。なる素数を動かしてカウントすると(積が同じ自然数となっても別々に数える)、そのカウント総数は
を超えないことになる。
次に、なる素数を用いて
と書ける数をカウントすることにする*3。このような数は先ほどのカウントにおいて少なくとも
回カウントされている(
に対して
を
なる素数とみる)。以上の考察から、
なる不等式が得られた。のときに主張が成り立つと仮定すると(
は
であるようにとって固定)、
と評価できる。であるから、
従って、
となって、のときも主張が成立することが示された。 Q.E.D.
*1:書きました: integers.hatenablog.com
*2:S. Ramanujan, The normal number of prime factors of a number , Quarterly Journal of Mathematics, XLVIII, 1917, 76 – 92. なお、
で成り立つ不等式を示しているため、必ずしもLandauの定理より弱いとは言えない。
*3:素数をと書くのは普通ではないですが、Ramanujanがそうしていたので真似ることにします。