エイプリルフールに出した問題
integers.hatenablog.com
の問1:
素数を順番に掛け合わせて足した数をEuclid数という*1:これらは偶然全て素数であるがは素数でない。それでは、以上の考察を受けて
「素数を個順番に掛け合わせて足し合わせると素数となるような最小の以上の整数」
を考察することにしよう。例えば:から
が分かる。任意のに対しては素数であることを証明せよ。
について記事を書きます。
まず、この問題の答えですが、未解決問題のため私は答えを知りません笑
つまり、この問のみ嘘をついているわけではないのでエイプリルフールとしては不適切でした(他の3問は嘘の問題)。
2013年現在、まで素数であることが確認されているようです。
名前の由来はニュージーランド生まれの人類学者Reo Franklin Fortuneが予想したからであって、フォーチュンクッキーのフォーチュンではありません。
Crámer予想とFiroozbakht予想
フォーチュン予想は一見「そんなの成り立たないだろう」と思うかもしれませんが*2、所謂「素数のgap」と関係があります。gapに関する次の予想は有名です:
が1931年にWestzynthiusによって証明されていることに注意します。
Crámer予想に対して、Crámerは次の定理を証明しています:
結論の式はCrámer予想よりも弱いです。しかしながら、Crámer予想からRiemann予想が出るわけではありません。Crámer予想が正しければ「任意の自然数に対してとの間には少なくとも一つ(二つ)は素数が存在する」という有名なLegendre予想が十分大きいに対して従います。Riemann予想が正しければ「任意の自然数に対してとの間には少なくとも一つは素数が存在する」ことが示せることは素数表現関数とミルズの素数 - INTEGERSでも紹介しましたが、Legendre予想のことをRiemann予想として紹介しているトンデモ本があって驚いたことがあります。
ところで、次のような予想があることを知りました:
これはめちゃくちゃ強い(最強の)予想で、例えば、Crámer予想よりはるかに強いです:
でFiroozbakht予想が成り立っていることが確認されていますが、上の定理における式は十分大きいにおいて(無限回)成り立たないだろうというGranvilleやPintzによる考察があるようなので注意が必要です(この部分はまだ勉強していません)。
フォーチュン予想より少しだけ強い予想
が素数であるならば、はでは割り切れません。従って、の素因数は一番小さくてです。すると、がもし合成数ならばとなるので
が成り立つことがわかります。は必ずしも素数ではないため、逆は言えません。よって、フォーチュン予想より強い次の予想を立てることができます*3:
こうして、フォーチュン予想は素数gapに関する予想に変化し、素数定理よりなので、Crámer予想やFiroozbakht予想と合わせて考えると成り立ってもおかしくない予想であることがわかります(ただし、GolombやGuyのフォーチュン数に関する論文では、として議論しています。これは間違いだと思うので注意が必要です)。
フォーチュン数最初の100個
の値最初の35個