この記事では、正整数のことを自然数と呼ぶことにします。
Wakuliczによる初等的な証明(Fermatの無限降下法)を紹介します。
証明. なので、方程式に代入すると
を変形して
を得る。なので、
となる。また、
これにを代入すればよい。 Q.E.D.
証明. なので、方程式に代入すると
を変形して
を得る。なので、
となる。また、
これにを代入すればよい。 Q.E.D.
定理の証明. 背理法で証明する。すなわち、自然数であって
を満たすものが存在すると仮定し、それらのうち、が最小であるものをとる。
の場合:
なので、
でなければならない。自然数
を用いて
と表す。すると、
となり、がわかるので、自然数
を用いて
と書く。これを代入して
で割ると、
を得る。であるから、これは
の最小性に矛盾する。
の場合:
理由:
とすると、
,
と表すとき、
なので、自然数
を用いて
と書ける。よって、
となって
の最小性に反する。
理由:
とすると、
,
と表すとき、
となる。
なので
であり、
の素因数
を一つ取ると、
なので
であり、
がわかる。よって、自然数
を用いて
,
とすれば、
となって
の最小性に反する。
理由:
ならば
となる。
さて、方程式は
と変形できるので、補題2よりなる自然数
を用いて
と表示できる。ここで、次の主張を証明する:
主張の証明: とおく。
なので、
と書け、これとより
を得る。よって、
と表示する(
)と、
である。 理由:
と仮定する。
及び
より
である。よって、①の左辺は
で割り切れ、右辺は
で割り切れない(
の部分)ので矛盾。
理由:
と仮定する。このときも
なので、①の左辺は
で割り切れ、右辺は
で割り切れない(
の部分)。これは矛盾。
理由:
と仮定する。
であり、
となり、である。よって、
であることから
がわかる。自然数
を用いて
と書くと、
となる。最初の二つよりであり、三つ目から
なので、これらを差し引きすると
を得る。これより、
となって、足し引きすれば及び
を得る。
と
より
なので、
及び
となり、
から
なので、
となる。
よって、及び
から
または
であるが、
ならば
より
も言えて
となる。
のときも
となって、
であることから
となり、やはり
である。ということは
が成り立つ。これが不可能なことは簡単にわかる(大学入試レベル)。
以上により、すなわち
が示された。さて、
であり、後ろ二つから、最初の二つから
なので、差し引きして
。よって、
であり、
と合わせると
を得る。
より
である。
と
より
なので、
となる。
かつ
は
を示す。 主張の証明終わり。
主張より
が得られた。である(後ろ二つは前二つから従う)。一つ目の式から
なので、補題1よりなる自然数
を用いて
と表示できる。とおくと、
となり、これより
も成り立つ。以下、と表示して、
の値で場合分けし、全ての場合において矛盾を導く。
の場合: ③の二式を足せば
、引けば
を得る。
より
が得られ、
なので、
となる。
と
より
が得られた。
のとき: このとき、
であり、
が成り立つ。と
より
なので、素因数分解の一意性より自然数が存在して
が、すなわち
が成り立つ。なので、
で
となり、
の最小性に反する。
の場合: このときは
であり、
なので、先ほどと同様に自然数が存在して
が成り立ち、
を得る。この場合もなので、
で
となり、
の最小性に反する。
の場合:
であり、
より
を得る。
で
より
となる。これは
を示しており矛盾。
の場合:
より、
から
が言えるが、
と
から
となって
に矛盾する。
の場合:
とする。
より
なので、
がという条件のもと成立している。これは、②を
として分母が
倍された形になっており、
なので
の場合の議論が全く同様に適用される(分母は整除性にしか用いないため(
の証明)、符号は影響しない)。
以上で、の場合も完全に矛盾に到達し、定理の証明が完了する。 Q.E.D.