インテジャーズ

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数、特に整数に関する記事。

(Z/nZ)*の群構造

定理解説

この記事では(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times}の群構造についてまとめています。

1.1 \ \ n=\prod_pp^{e_p}と素因数分解されているとき、中国剰余定理によって

\displaystyle  \mathbb{Z}/n\mathbb{Z} \simeq \prod_p\mathbb{Z}/p^{e_p}\mathbb{Z}

が成り立つので、

\displaystyle (\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times} \simeq \prod_p(\mathbb{Z}/p^{e_p}\mathbb{Z})^{\times}

を得る。すなわち、問題はn=p^eのときに帰着される(e_pは自然数)。

1.2 \ \ e \geq 3のとき、 5^{2^{e-3}} \not \equiv 1 \pmod{2^e}, \ \ 5^{2^{e-2}} \equiv 1 \pmod{2^e}が成り立つ。

証明. 奇数k_eが存在して、5^{2^{e-3}}=1+k_e2^{e-1}と書けることを示せばよい。eに関する帰納法で証明する。5=1+2^2なので、k_3=1k_eが存在したと仮定すると、

5^{2^{e-2}} = (5^{2^{e-3}})^2=(1+k_e2^{e-1})^2=1+(k_e+k_e^22^{e-2})2^e

より、k_{e+1}=k_e+k_e^22^{e-2}とすればよい(このときk_{e+1}は奇数)。 Q.E.D.

1.3

命題 次の群の同型が成立する:
(\mathbb{Z}/2^e\mathbb{Z})^{\times} \simeq \begin{cases} \text{単位群} & e=1 \\ \mathbb{Z}/2\mathbb{Z} & e=2 \\ \mathbb{Z}/2\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}/2^{e-2}\mathbb{Z} & e \geq 3 \end{cases}

証明. e=1, 2のときは明らか。e\geq 3G=(\mathbb{Z}/2^e\mathbb{Z})^{\times}とする。また、-1\bmod{2^e}(resp. 5\bmod{2^e})が生成するGの部分群を\langle -1 \rangle (resp. \langle 5 \rangle)と表す。4で割ったあまりを考えることによって、-1 \bmod{2^e} \not \in \langle 5 \rangleがわかるので、自然な埋め込み\langle -1 \rangle \times \langle 5 \rangle \hookrightarrow Gがある。1.2より

\#(\langle -1 \rangle \times \langle 5 \rangle )= 2 \times 2^{e-2} = 2^{e-1} = \varphi (2^e) = \#G

なので、

(\mathbb{Z}/2^e\mathbb{Z})^{\times} \simeq \langle -1 \rangle \times \langle 5 \rangle \simeq \mathbb{Z}/2\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}/2^{e-2}\mathbb{Z}

が示された。 Q.E.D.

\varphi (n)はEulerのトーシェント関数
integers.hatenablog.com

\varphi (n) = \#(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times}である。

1.4 \ \ pを素数とする。このとき、(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})^{\times}は位数p-1の巡回群である。

これは原始根の存在からわかる。
integers.hatenablog.com

1.5 \ \ gを法pの原始根とする(1.4より存在する)。このとき、gまたはg+pg^{p-1} \not \equiv 1 \pmod{p^2}を満たす。

証明. (g+p)^{p-1} \equiv g^{p-1}+(p-1)g^{p-2}p \equiv g^{p-1}-g^{p-2}p \pmod{p^2}
よりわかる。 Q.E.D.

gg\not \equiv 1 \pmod{p^2}を満たすような法pの原始根とする。pが奇素数、e \geq 2ならばg^{p^{e-2}(p-1)}=1+k_{e-1}p^{e-1}によって定義されるk_{e-1}pで割り切れないような整数である。

証明. k_1pで割れないような整数であることはgの取り方からOK。e \geq 3として数学的帰納法で証明する。すなわち、k_{e-2}pで割れない整数であると仮定する。このとき、

\begin{equation}\begin{split}g^{p^{e-2}(p-1)}&=(1+k_{e-2}p^{e-2})^p \\ &= 1+k_{e-2}p^{e-1}+\sum_{j=2}^{p-1}\binom{p}{j}k_{e-2}^jp^{j(e-2)}+k_{e-2}^pp^{p(e-2)} \\ &\equiv 1+k_{e-2}p^{e-1} \pmod{p^e}\end{split}\end{equation}

が成り立つ。ここで、pCrはpの倍数 - インテジャーズ*1およびp > 2であることを用いている。従って、k_{e-1} \equiv k_{e-2} \pmod{p}であることがわかり、特にk_{e-1}pで割れない整数である。 Q.E.D.


1.6

命題 pを奇素数、eを自然数とする。このとき、(\mathbb{Z}/p^e\mathbb{Z})^{\times}は位数\varphi (p^e)=  p^{e-1}(p-1)の巡回群である。

証明. gg \not \equiv 1 \pmod{p^2}なる法pの原始根とする。g(\mathbb{Z}/p^e\mathbb{Z})^{\times}における位数tp^{e-1}(p-1)の約数なので、非負整数a, bを用いてt=p^abと書ける(a \leq e-1, \ b \mid p-1)。b < p-1と仮定しよう。g^{t} \equiv 1 \pmod{p^e}なので、

g^{p^ab} \equiv 1 \pmod{p}

が成り立つが、Fermatの小定理によって

g^b \equiv 1 \pod{p}

となってgが法pの原始根であることに反する。従って、t=p^a(p-1)を得る。すると、1.5よりa=e-1も従い、gが法p^eの原始根になっていることがわかった。 Q.E.D.

2.1 群の同型G \simeq H_1 \times H_2があって、H_1, H_2はそれぞれ位数n, mの巡回群とする。このとき、Gが巡回群になるための必要十分条件はnmが互いに素であることである。

証明. Gの任意の元gに対してg^{\mathrm{lcm}(n, m)}=1が成り立つので、gの位数は\mathrm{lcm}(n, m)を割り切る。従って、Gが巡回群であればnmは互いに素でなければならない。逆は中国剰余定理よりわかる。 Q.E.D.

2.2

命題 (\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times}が巡回群になるための必要十分条件は
n=2, \ 4, \ p^e, \ 2p^e
であることである(pは奇素数でeは自然数)。

証明. pが奇素数であれば\varphi (p^e)は偶数である。このことに注意すれば、1.3, 1.6, 2.1より従う。 Q.E.D.

*1:タイトルの事実のみを使うため、リンク先を読む必要はありません。