Goldston-Yıldırım型定理Bを仮定して、が-相関条件を満たすことを証明します。
(i)任意の零でない整数に対して である。
(ii)相異なる個の整数を任意にとったときに、が成り立つ。ここで、である。
(iii)任意のに対して、漸近公式が成り立つ。
証明. の定義とBernoulliの不等式より
と評価できるので、相加相乗平均の不等式より*1
が得られる。よって、(ii)が成り立つように適当に
と定義できることがわかった。また、(i)は自明に成立する。よって、後は(iii)を確認する。とする。個の例外素数を除いて、
が成り立つので、
と評価できる(とで同じ値を取ることに注意)。また、
なので
であり、これは(iii)の成立を示している。 Q.E.D.
を代表元をとる関数とする。
証明. に対して関数 であって任意の に対して
を満たすものが存在して、任意の(等しいものがあってもよい)に対して
が成り立つことを示せばよい。補題によって存在する関数をここではと書くことにし、に対しては と定め、或る絶対定数に対して
と定義する。補題より
なので、
であり、定義からなのでが成り立っている。は各点でについて単調増加であるように定義しておく*2。後は①を証明する。
達の中に等しいものがある場合
約数個数関数をとし、をを満たす任意の整数とする。切断約数和の定義より
と評価できるので、約数個数関数の上からの評価 - INTEGERSとより
が得られる。よって、を適切に選べば
が成り立つことがわかった*3。故に
と①が成立する。
達が相異なる場合
を
と定義すると、Green-Tao測度の定義より
と評価できる。
を十分増加速度の遅いを満たすような整数とする。このとき、に対して
と定義すると、
と分割されているが、Gauss記号が整数となるかならないかによって各のサイズは若干異なり、の増加速度が十分遅ければ
である。よって、
を得る。ここで、次を示す:
主張の証明: に対して
であり、
が成り立つが、かつ なので、が十分大きければでなければならない。 主張の証明終.
なるが存在しないようなが一つでもある場合は期待値は零である。そうでない場合、を固定して主張のをと書くことにし、に対してと定義する。
すると、の定義から
と評価できる。達が相異なることから達も相異なる。よりであり、の成長速度が十分遅ければはサイズの条件を満たす。よって、Goldston-Yıldırım型定理Bより
が成り立つ。従って、補題より
を得る。これより、
が言える。理由: ③の場合、或るが存在して、
が成り立ち、なので、
であり、
となる(単調性を使っている)。 よって、②と合わせればよい。 従って、
が結論付けられ、の定義は別に倍してもよいので、①が成り立つことが示された。 Q.E.D.
*1:次の記事の"同値な不等式"の形で用いるとよい: integers.hatenablog.com
*2:は以外での値を倍しても問題ないので、帰納的に一つ前の関数より大きい値を取るように調整すればよい。
*3:もしなるが存在しなかったとしても、なので同じ評価が可能である。