インテジャーズ

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

インテジャーズ

数、特に整数に関する記事。

eが無理数であることの5通りの証明

eの定義については高校の数学の教科書等を参照してください。

しかしながら、

\displaystyle e=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}

という表示も大切です。

第一証明

自然数m, nを用いて\displaystyle e=\frac{m}{n}と書けたと仮定する。このとき、

\displaystyle e=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+\cdots +\frac{1}{n!}+R_{n+1}

とすれば、仮定よりn!R_{n+1} \in \mathbb{Z}なので、

\displaystyle 1 \leq  n!R_{n+1} = \frac{1}{n+1}+\frac{1}{(n+1)(n+2)}+\cdots \leq \frac{1}{n+1}+\frac{1}{(n+1)^2}+ \cdots = \frac{1}{n}

となってn=1が従う。これは2 < e < 3に矛盾。 Q.E.D.


第二証明

第一証明におけるR_{n+1}はTaylorの定理を用いることによって、ある\theta \in (0, 1)が存在して

\displaystyle R_{n+1} = \frac{e^{\theta}}{n+1}

と書ける。よって、

\displaystyle 1 \leq n!R_{n+1} < \frac{3}{n+1}

からn=1が従う。 Q.E.D.


第三証明

非負整数nに対して

\displaystyle I_n := \int_0^1x^ne^{-x}dx

とおく。x \in (0, 1)に対して

\displaystyle 1 \geq e^{-x}\geq xe^{-x}\geq x^2e^{-x}\geq \cdots \geq 0

より、

\displaystyle 0 < I_n < 1 ―①

がわかる。また、部分積分により

\displaystyle I_{n+1}=-e^{-1}+(n+1)I_n ―②

が成り立つ。これとI_0 = 1-e^{-1}から整数a_n, b_n \in \mathbb{Z}が存在して

\displaystyle I_n=a_ne^{-1}+b_n ―③

と表示されることが帰納的にわかる。②の両辺をn+1で割ることによって、①より

\displaystyle 0 < I_n < \frac{C}{n} ―④

なるC > 0が存在する。さて、e^{-1}=a/bなる整数a, bが存在したと仮定すると、③、④より

\displaystyle 0 < aa_n+bb_n < \frac{bC}{n}

が成り立つ。aa_n+bb_nは整数なので、nを十分大きくとると矛盾が生じる。 Q.E.D.


第四証明

補題 n \in \mathbb{N}を固定して
\displaystyle f(x) = \frac{x^n(1-x)^n}{n!}
とおく。このとき、
\displaystyle 0 < f(x) < \frac{1}{n!}, \ \ x \in (0, 1) ―⑤
および
\displaystyle f^{(m)}(0), \ f^{(m)}(1) \in \mathbb{Z} \ \ ({}^{\forall}m \in \mathbb{Z}_{\geq 0}) ―⑥
が成り立つ。

証明. ⑤は明らか。m < nまたはm > 2nのときはf^{(m)}(0)=0である。n \leq m \leq 2mのときは、f(x)

\displaystyle f(x) = \frac{1}{n!}\sum_{k=n}^{2n}a_kx^k

と展開するとa_k \in \mathbb{Z}であることから

\displaystyle f^{(m)}(0)=\frac{m!}{n!}a_m \in \mathbb{Z}

がわかる。f(x)=f(1-x)であることからf^{(m)}(1) \in \mathbb{Z}もわかる。 Q.E.D.

定理 任意のr \in \mathbb{Q}^{\times}に対して、e^rは無理数である。

証明. r=k/l \ (k, l \in \mathbb{Z}, k > 0とするとき、

\displaystyle e^r \in \mathbb{Q} \Longrightarrow e^k=(e^r)^l \in \mathbb{Q}

が成り立つので、e^kが無理数であることを示せば十分である。e^k=a/b \ (a, b \in \mathbb{N})と仮定しよう。nを固定して補題のf(x)を考える。

\displaystyle F(x) := k^{2n}f(x)-k^{2n-1}f'(x)+\cdots -kf^{(2n-1)}(x)

とおく。このとき、

\displaystyle \frac{d}{dx}\Bigl\{ e^{kx}F(x) \Bigr\} = e^{kx}(kF(x)+F'(x))=k^{2n+1}e^{kx}f(x)

なので、

\displaystyle I := b\int_0^1k^{2n+1}e^{kx}f(x)dx = b \Bigl[ e^{kx}F(x) \Bigr]_0^1 = aF(1)-bF(0).

⑥よりこれは整数である。一方、⑤より

\displaystyle 0 < I < \frac{bk^{2n+1}e^k}{n!}

が成り立つ。nは任意であったので、十分大きいnを考えることにより

integers.hatenablog.com

で解説した極限公式によって矛盾が生じる。 Q.E.D.

r \in \mathbb{Q}_{> 0, \neq 1}に対し、\log rは無理数である。

\displaystyle \log 2 = 1-\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{4}+\frac{1}{5}-\cdots

はあ。。。好き。


第五証明(by Sondow)

I_1 := [2, 3] とし、閉区間I_nを次のように帰納的に定義する:

I_{n}I_{n-1}n等分してできるn個の小区間のうち、左から2番目のものとする。

I_n=[ s_n, t_n] とすると、

\displaystyle s_n=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\cdots + \frac{1}{n!}, \ \ t_n = s_n+\frac{1}{n!}

であって両方eに収束する。すなわち、区間縮小法による確定実数はeである:

\displaystyle \bigcap_{n=1}^{\infty}I_n = \{ e \} ―⑦

さて、eが有理数であったと仮定しよう。すると、n, m \in \mathbb{N}が存在して

\displaystyle e=\frac{m}{n!}

と書ける。一方、ある整数aが存在して

\displaystyle I_n = \left[ \frac{a}{n!}, \frac{a+1}{n!}\right]

と書けるので、e \in I_nであることからeI_nの端点のいずれかに一致せざるを得ない。これは⑦に反する。 Q.E.D.