前の記事では一様概周期関数に対して良い上の-加法族が存在することを示しましたが、この記事では複数の一様概周期関数によって生成される上の-加法族について議論します。
- ,
が存在して、
と書けるときにいう(の場合は)。また、-コンパクトな上の-加法族の(-)複雑度を上記定義によって存在するの最小値とする。
-コンパクトでない-加法族の-複雑度はと定義します。
証明. のときを示せば十分(一般の場合は帰納法)*1。 三角不等式とより
と評価できる。 Q.E.D.
コンパクトな-加法族上可測な関数であれば、一様概周期関数による良い近似が存在します:
証明. に対して定義によって存在するデータ1. 2. 3. をとり、のアトムからなる集合をとする。複雑度の場合は自明なので、としてよい。このとき、§6を読む(その一)の補題4及び§6を読む(その二)の命題により
である。これに注意すれば、§6を読む(その二)の命題の証明と全く同じ理由で (はのアトム)の場合に帰着される。を固定すると、§6を読む(その一)の補題4より のアトム が存在して
と書ける。また、§6を読む(その二)の命題によって、各に対して非負値有界関数 が存在して
が成り立つ。そこで、 としよう。これは明らかに非負値有界関数。の積閉性よりであり
が成立する。補題より
という評価が成り立つので、①と-ノルムの定義・三角不等式より
が得られ、証明が完了する。 Q.E.D.
*1:ここに紹介する証明は松森先生によります。私は最初次のように証明していました:のとき。 に注意する。 及び なので であり、 が示された。 のとき。 及び なので であり、 また、 及び なので であり、 つまり、 が示された。残り二つのケースはこの二つのケースから従う。