インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

2016-01-01から1年間の記事一覧

局所有限性に関する補題

定義 位相空間の部分集合族が局所有限であるとは、の各点が高々有限個のの元としか共通部分を持たないような近傍を持つときにいう。補題1 を位相空間、をの局所有限な部分集合族とし、の元は全て閉集合であるとする。このとき、も閉集合となる。証明.をの補…

ハッピー・ゴー・ラッキー数

ハッピー・ゴー・ラッキー数とは、ハッピー数かつラッキー数であるような自然数のことを言います。integers.hatenablog.comintegers.hatenablog.com ハッピー・ゴー・ラッキー数最初の100個 10000番目のハッピー・ゴー・ラッキー数を僕は「串行こーよ、な!…

マーティン・ガードナーのラッキー数 2187

マーティン・ガードナーが住んでいた家の住所にという数があったそうです。何故この数がマーティン・ガードナーのラッキー数と言われているかというと、ラッキー数になっているからです。 integers.hatenablog.com他にも次のような式が成り立ちます:

ラッキー数定理

この記事ではラッキー数を紹介します。Wikipediaでは幸運数という訳語で紹介されていますが、Eulerの幸運数とは異なるものです。Eulerの幸運数についてはtsujimotter.hatenablog.comを参照してください。 ラッキー数の定義 素数はEratosthenesの篩という篩に…

記憶に残っている、ある図形の問題

私は中学生のときに地元の数学専門塾に通っていた。 冬期講習のときだった気がするが、とある図形の問題のことを今でも覚えている。 悪戦苦闘の末、見事自力で解くことが出来た。 その問題は次のようなものだ*1: 三角形の辺上に点があり、が成り立つとき、…

素数大富豪まとめ

素数大富豪考案者による素数大富豪総合まとめ記事。

ディリクレの算術級数定理のL関数を用いない証明

記念すべき250記事目ということで、整数論における極めて有名な次の定理の証明を解説します:Dirichletの算術級数定理 を互いに素な正整数とする。 このとき、 の形で表される素数は無数に存在する。 初等的証明が知られているケース 算術級数定理の証明を知…

ディリクレ指標

Dirichlet指標に関する基本事項をまとめておきます。差し当たって、Dirichletの算術級数定理の証明の準備的記事のため、必要最小限のことしか記述していません(例えば、原始的指標などを導入していません)。 有限アーベル群の指標 定義1 を有限アーベル群と…

オイラーの五角数定理の証明

Eulerの五角数定理は非常に美しい定理です。収束半径はですが、形式的冪級数の等式と考えるのがよいでしょう。この定理は過去の記事で一度使ったことがあります: integers.hatenablog.comEulerの五角数定理より偉い定理であるJacobiの三重積というものがあ…

n^2+(n+1)^2に関するシェルピンスキーの定理

昨夜、次の問題がTwitterのTLで話題になっていました。この前気になった「連続する二数の二乗和が素数」となり隣接するもの(例 1201と1301)を調べてみたら結構たくさんあった。なんか法則性あるかな?— miyamo (@DMiyamo3) 2016年9月26日 (続き)1,2,3のとき1…

203233, 203249, 203279, 203293

は連続する四つの素数です(番目の素数から番目の素数)。が連続する四つの素数であるとき()、が平方数になるような最小の例が上の四つの素数達です。とすると、となっています。

Grahamの第二論文を読む ー①

過去の記事を読むには上のカテゴリーをクリックしてください。前の記事で導入した記号・用語については説明を省略しています。前回までにGrahamの第一論文を読み終えました。 一連のプロジェクトの目標は integers.hatenablog.comで紹介したGrahamの定理を証…

Grahamの第一論文を読む ー③

過去の記事を読むには上のカテゴリーをクリックしてください。定理1 を正の整数からなる数列であって、 は半完全 は非有界 は有界 を満たすようなもの、 (はを満たす正整数)を は-近似可能 はのある項を割り切る を満たすような正の有理数とする。このとき…

先越されちった〜☆

が有理数と表されるというEulerの公式が僕は大好きで、4年前と9か月前に二回オリジナル証明を与えたことがあるんです。4年前は全く同じ証明を1994年にZagierが出版していることが分かってショックを受けたエピソードを integers.hatenablog.com に書きま…

岩波科学ライブラリー253『巨大数』〜アッカーマン関数に関する合同式について〜

9/6発売の書籍鈴木真治著『巨大数』岩波科学ライブラリー253を購入しました。 一切のネタバレを嫌う方はこれ以降は読まれた後にご覧になってください。 この本は巨大数史をまとめた初めての本であり、 かなり古い時代に考えられた巨大数 自然科学に現れる巨…

Grahamの第一論文を読む -②

過去の記事を読むには上のカテゴリーをクリックしてください。 定義 定義1 を正の実数からなる数列とする。このとき、が半完全であるとは、ある非負整数が存在して、が成り立つときにいう。定義2 正の実数からなる数列が半完全であるとする。このとき、定…

素数とはA~Zで見つけられる数である(証明編)

Jones-Sato-Wada-Wiensによる素数公式の証明の解説記事。

ζ(5)の値を少しだけ

1.036927755143369926331365486457034168057080919501912 8119741926779038035897862814845600431065571333363796203414665566090428009617791 5597084183511072180087644866286337180353598363962365128888981335276775239827503 2022436845766444665958115…

ディガンマ関数とリーマンゼータ

ディ(ダイ)ガンマ関数はで定義されます。ガンマ関数については階乗とガンマ関数 - INTEGERSを参照してください。 Weierstrassの無限積表示の対数をとると(ガンマ関数の極は避ける) ー①が得られ、微分することにより ー②が得られます*1。更にならが成り立つの…

アペリー数の超合同式

8/24に投稿されたRosenのプレプリントでApéry数に関する次の美しい超合同式*1が示されています:定理 (Rosen) 以上の素数に対して*2 が成立する。ここで、はApéry数を表す。Apéry数については integers.hatenablog.com を参照してください。1980年出版の論文…

ジョルダンのトーシェント関数

Jordanのトーシェント関数は次のように定義されます:定義1 を自然数とするとき、でを定義し、Jordanのトーシェント関数と呼ぶ。と書けば素数です。のときEulerのトーシェント関数に一致します()。名前についているJordanはJordanの曲線定理などで有名なあ…

34以上の任意の整数は相異なる三角数の和として表すことができる

この記事では標題の主張を証明します。この事実からは「相異なる三角数の和として表すことのできない最大の整数」という特徴を持っていることがわかります。 証明は integers.hatenablog.com で紹介したSierpinskiの補題に基づきます:補題 (Sierpinski 1955…

リーマンの再配列定理

の証明 級数を考える。これはに収束する: mathtrain.jp となるので、両辺をで割ることによってが得られる。 ちなみに、他にもたくさんのの証明が知られています: 絶対収束と条件収束 冒頭の証明のどこが間違っているかというと、(⭐︎)の行を等号で結んでい…

フォーチュン予想

エイプリルフールに出した問題 integers.hatenablog.com の問1:問1 素数を順番に掛け合わせて足した数をEuclid数という*1:これらは偶然全て素数であるがは素数でない。それでは、以上の考察を受けて 「素数を個順番に掛け合わせて足し合わせると素数とな…

1093と3511について

1093および3511がWieferich素数であることの証明

100以下の自然数に魅せられて

1から100までの数の性質を集める記事。

リーマンゼータ関数の級数表示による解析接続

リーマンゼータの解析接続には様々な証明が知られています。このブログでも、Riemann自身による二つの証明のうち、テータ関数を使う方を紹介しました: integers.hatenablog.comRiemannのもう一つの証明はコンタワー積分を使うもので、どちらも関数等式も同…

ロジェ・アペリーと奇跡の証明〜数学界を震撼させた伝説の老兵〜

ζ(3)が無理数であるというApéryの定理のApéry本人による証明の解説を行う。

奇跡の漸化式〜creative telescoping〜

アペリーの定理の証明におけるkeyステップを別記事解説

ほとんど整数「黄金比の冪乗」の整数部分

ほとんど整数について、もっちょさんが記事を書かれています: motcho.hateblo.jpほとんど整数は楽しい話題ですが、私なんかは昔からが好きです。もっちょさんが扱ったほとんど整数はです(は黄金比)。 ー(も)が整数であり、からなので、はが大きくなればなる…