インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

定理解説

ウェダーバーンの定理

環と言ったら可換環のことを指すというようなことはなくて、普通は非可換環も含めて環なので、可換環しか扱わないような場合は最初に明言する必要があります。を持つかなども基本的には書かなければなりません。一方、体と言ったら普通は可換体を表します。…

Zsigmondyの定理

高校数学の美しい物語さんの記事mathtrain.jpを初めて見たとき、一つだけ知らない定理がありました。それがZsigmondyの定理です:Zsigmondyの定理 を互いに素な自然数とし、を以上の整数とする。このとき、およびかつがの冪であるという例外ケースを除いて、…

「√2+√3+√5+√7は無理数である」など

この記事は日曜数学アドベントカレンダーの17番目の記事です。http://www.adventar.org/calendars/1777www.adventar.org昨日の記事はToshiki Takahashiさんのリープグラフと複素確率 | Advent Calendar 2016 | DIY Mathematics |でした。 今日は、キグロさん…

関-ベルヌーイ数の第二種Stirling数を用いた公式

関-Bernoulli数は第二種Stirling数を用いて表すことができます。関-Bernoulli数については関-ベルヌーイ数 - INTEGERSを、第二種Stirling数についてはBell数の母関数表示と第二種Stirling数 - INTEGERSを参照してください。関-Bernoulli数は一つ目の記事で紹…

局所有限性に関する補題

定義 位相空間の部分集合族が局所有限であるとは、の各点が高々有限個のの元としか共通部分を持たないような近傍を持つときにいう。補題1 を位相空間、をの局所有限な部分集合族とし、の元は全て閉集合であるとする。このとき、も閉集合となる。証明.をの補…

ラッキー数定理

この記事ではラッキー数を紹介します。Wikipediaでは幸運数という訳語で紹介されていますが、Eulerの幸運数とは異なるものです。Eulerの幸運数についてはtsujimotter.hatenablog.comを参照してください。 ラッキー数の定義 素数はEratosthenesの篩という篩に…

ディリクレの算術級数定理のL関数を用いない証明

記念すべき250記事目ということで、整数論における極めて有名な次の定理の証明を解説します:Dirichletの算術級数定理 を互いに素な正整数とする。 このとき、 の形で表される素数は無数に存在する。 初等的証明が知られているケース 算術級数定理の証明を知…

オイラーの五角数定理の証明

Eulerの五角数定理は非常に美しい定理です。収束半径はですが、形式的冪級数の等式と考えるのがよいでしょう。この定理は過去の記事で一度使ったことがあります: integers.hatenablog.comEulerの五角数定理より偉い定理であるJacobiの三重積というものがあ…

ディガンマ関数とリーマンゼータ

ディ(ダイ)ガンマ関数はで定義されます。ガンマ関数については階乗とガンマ関数 - INTEGERSを参照してください。 Weierstrassの無限積表示の対数をとると(ガンマ関数の極は避ける) ー①が得られ、微分することにより ー②が得られます*1。更にならが成り立つの…

アペリー数の超合同式

8/24に投稿されたRosenのプレプリントでApéry数に関する次の美しい超合同式*1が示されています:定理 (Rosen) 以上の素数に対して*2 が成立する。ここで、はApéry数を表す。Apéry数については integers.hatenablog.com を参照してください。1980年出版の論文…

ジョルダンのトーシェント関数

Jordanのトーシェント関数は次のように定義されます:定義1 を自然数とするとき、でを定義し、Jordanのトーシェント関数と呼ぶ。と書けば素数です。のときEulerのトーシェント関数に一致します()。名前についているJordanはJordanの曲線定理などで有名なあ…

リーマンの再配列定理

の証明 級数を考える。これはに収束する: mathtrain.jp となるので、両辺をで割ることによってが得られる。 ちなみに、他にもたくさんのの証明が知られています: 絶対収束と条件収束 冒頭の証明のどこが間違っているかというと、(⭐︎)の行を等号で結んでい…

リーマンゼータ関数の級数表示による解析接続

リーマンゼータの解析接続には様々な証明が知られています。このブログでも、Riemann自身による二つの証明のうち、テータ関数を使う方を紹介しました: integers.hatenablog.comRiemannのもう一つの証明はコンタワー積分を使うもので、どちらも関数等式も同…

奇跡の漸化式〜creative telescoping〜

この記事では、Apéryの定理の証明においてクリティカルな部分となる次の定理を証明します:定理 (Cohen-Zagier) 漸化式で定まる二つの数列を考える:このとき、の一般項はで与えられる。パスカルの三角形に現れない二項係数についてはと規定します。証明のテ…

数列の漸近挙動に関するポアンカレの定理

数学ガールの秘密ノート〜数列の広場〜 http://www.hyuki.com/girl/note4.htmlを読みました。オリジナル問題を作ってみたので挑戦してみてください*1: 定数係数線形漸化式 定数係数項間線形漸化式を考えましょう()。これは特性方程式の根(重複を込めて個)の…

一年生の夢とLucasの合同式

一年生の夢(Freshman's dream)とはのことを言います。中学生が展開を習ったときにが正しいところをと間違えてしまうことはよく見かける光景だと思います。ちなみに二年生の夢(sophomore’s dream)もあるのですが、こちらは正しい式です:mathtrain.jp 一年生…

クロネッカーの稠密定理とワイルの一様分布定理

この記事では有名なKroneckerの稠密定理とWeylの一様分布定理を解説します。高木貞治『解析概論』において (証明はむつかしいが, が無理数ならば, 単位円周上の定点を起点として同じ向きに長さがなる弧を取れば, 点は円周上に稠密に分布される). という記述…

ストーン・ワイエルシュトラスの定理

Weierstrassの多項式近似定理ワイエルシュトラスの多項式近似定理 - INTEGERSは1937年にStoneによって拡張されました(通称Stone-Weierstrassの定理)。それを述べるために言葉の導入から始めましょう。をコンパクト位相空間とします。このとき、連続関数空間…

ディリクレの近似定理

有理数と無理数を分かつもの。それは「近似の精度」である。Dirichletの近似定理 を実数とする。このとき、任意の自然数に対して整数が存在して、およびが成り立つ。証明. をと分ける。を考える。このとき、鳩ノ巣原理からが存在して、とは同じ小区間に属す…

ワイエルシュトラスの多項式近似定理

この記事では、Weierstrassの多項式近似定理の証明を解説します:定理 (Weierstrass, 1885) を区間上で定義された実数値連続関数とする()。このとき、任意のに対して多項式が存在して、が成り立つ。証明は何通りもありますが、Bernsteinによるものを解説しま…

(Z/nZ)*の群構造

この記事ではの群構造についてまとめています。 1.1 と素因数分解されているとき、中国剰余定理によってが成り立つので、を得る。すなわち、問題はのときに帰着される(は自然数)。 1.2 のとき、が成り立つ。証明. 奇数が存在して、と書けることを示せばよい…

約数個数関数の上からの評価

自然数の約数の個数をで表します。は次の公式で求めることができます:公式 とが素因数分解されているとき、が成り立つ。cf.) mathtrain.jp以前の記事でを用いた例としてサブライム数 - INTEGERSがあります。の上からの評価として、自明な評価がありますが、…

与えられた数の倍数となるような類数をもつ虚二次体の無限性について

前回の記事で虚二次体の類数に関する表を眺めました。integers.hatenablog.com表を見ていると自然に疑問に思うことですが、実は次が証明されています:定理1 与えられた数を類数にもつような虚二次体の個数は有限個である。一方、次は未解決問題だと思いま…

Bell数に関するSun-Zagierの定理

をBell数とします。Bell数に関する過去記事一覧: 52:ベル数 - INTEGERS Bell数の母関数表示と第二種Stirling数 - INTEGERS Bell数に関するHurst-Schultzの定理 - INTEGERS pCrはpの倍数 - INTEGERS Touchardの合同式 - INTEGERSZhi-Wei SunはBell数に関する…

Touchardの合同式

Bell数に関して最初に書いた記事integers.hatenablog.com で紹介した興味深い合同式であるTouchardの合同式Touchardの合同式 任意の非負整数と素数に対して、合同式が成立する。の証明をいつか紹介すると約束していました。この記事で、Hurst-Schultzによる…

pCrはpの倍数

高校生の皆さん! が素数で、 なる整数に対しては必ずの倍数になります!!え?そんなことは知ってるって??そんなあなたのために、今日は第二種Stirling数ヴァージョンの類似の性質を紹介しましょう。なお、以下では二項係数はいつも通りなる記号を用いる…

Bell数に関するHurst-Schultzの定理

をBell数とします。Bell数については52:ベル数 - INTEGERS Bell数の母関数表示と第二種Stirling数 - INTEGERSで記事にしましたが、書こうと思ってその後書き忘れていた部分を書こうと思います(四回分)。Bell数については次の二つの関係式が重要です: ‐① ‐②…

二回目のディリクレ関数

私と相互フォローして下さっている鰺坂もっちょさんという方がtwitterで「いまディリクレ関数のブログ書いてる」と呟いておられたので、「ああ、僕もそろそろDirichlet 関数についてブログ書かなきゃなあ~。これを機に記事を書くか!」と思っていたのですが…

四平方の定理に関する追加的内容について

Lagrangeの四平方の定理という有名な定理を以前取り上げました: integers.hatenablog.comどのような定理であったかをもう一度書いておきます:四平方の定理 任意の自然数は四つの平方数の和として表すことができる。ただし、も平方数に含める。いつみても美…

相異なるr個の素数の積で表されるような数の個数に関するラマヌジャンの不等式

半素数の記事でを導入しましたが、を以下の相異なる二つの素数の積として表せる数の個数とするとが成り立つため314:半素数 - INTEGERSで示した漸近公式よりが成り立つことが分かります。実はこれは次のように拡張されます:定理 (Landau) 、は正の整数とし…