インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

等間隔に並ぶ素数を追い求めて

ハイパーグラフ除去補題ー4

定義 記事3の正則化補題の記号・仮定・帰結を考え、とする。各に対して、のアトムをとる。このとき、(これは空集合かのアトム)がgoodであるとは、任意のおよびに対して次の二つの評価が成り立つときにいう: −① −②が負となるような状況は扱わない。, のアト…

ハイパーグラフ除去補題ー3

前正則化補題 , とし、関数は任意のに対してを満たすとする(に依存してもよい)。各に対して加法族はを満たすとする。このとき、および各 毎に加法族の組であってを満たすものが存在して、次が成り立つ: −① −② −③ −④前正則化補題 Szemerédiの正則化補題 弱正…

ハイパーグラフ除去補題ー2

この記事からハイパーグラフ除去補題を証明していく。ハイパーグラフ系を固定する。単に期待値を書いたら上の期待値とする。Terence Taoによる証明の方針はintegers.hatenablog.comと非常に似ている。そこでも扱ったように、上の加法族と に対して条件付き期…

ハイパーグラフ除去補題ー1

この記事から複数記事用いて「ハイパーグラフ除去補題」の証明を行います。参考文献 T. Tao, A variant of the hypergraph removal lemma, J. Combin. Theory Ser. A 113 (2006), 1257–1280. T. Tao, The Gaussian primes contain arbitrarily shaped conste…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー11

この記事でSzemerédiの定理の組合せ論的証明を完成させる。 帰納的ステップの証明 とし、は或るに対してを含むがを含まないと仮定する。が成り立つと仮定する。以下、とし、が成り立つことを示す。 パラメータの選択 を任意にとって、をを満たすようにとる。…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー10

定理 (帰納的ステップ) とし、は或るに対してを含むがは含まないと仮定する*1。このとき、が成り立つならばが成り立つ。帰納的ステップ Szemerédiの定理の証明. とすると写像は全単射である(二進展開)。とすると、或るに対してを含むがは含まない。よって、…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー9

一般のSzemerédiの定理を証明する。として、次の主張を考える。主張1 (). 任意のに対して或るが存在して次が成り立つ: なるをとる。をを満たす集合とし、その塗り分け写像を考える(は有限集合)。このとき、或るおよび-APの族()が存在して以下の(i)〜(iv)が…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー8

Rothの定理の証明. をを満たすような集合とする。示したいことは、が-APを少なくとも一つは含むことである。とすると、である。密度昇格定理によって非有界かつ二重カウンティング性質を満たすようなが存在し、のに沿った密度が存在してが成り立つ。なる正整…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー7

以上の道具立てに基づくRothの定理(Szemerédiの定理のの場合)の証明を実行する。Szemerédiの定理の証明に論理的には必要のない部分であるが、プロトタイプとして一度練習できる*1。また、後のSzemerédiの定理の証明と比較して、特殊な議論によるショートカッ…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー6

定理 (混合補題) を非有界で二重カウンティング性質を満たすものとし、はに沿った密度をもち、であるとする。任意のに対してが存在し、と任意の整数に対してが存在して、なるをとり、-長方形であって任意のに対してなるものをとるとき、次が成立する: (i) (…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー5

密度昇格定理 は非有界かつ二重カウンティング性質を満たすと仮定する。のに沿った上密度がであるとき、非有界かつ二重カウンティング性質を満たすであって、のに沿った密度が存在し、が成り立つようなものが存在する。証明. を十分遅くとなるようなとのみに…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー4

-AP に対して、一様確率測度をに対してと定義する。に対して、が-長方形であるとは、を用いてと表されるもののことをいう。に付随する写像をで定義する。-長方形に対して、各毎に-AP をで定義し、各毎に-AP をで定義する。また、一様確率測度をに対してと定…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー3

弱正則化補題の証明. を主張の通りにとる。またはが空集合のときは自明に成立するので、ともに空集合ではないと仮定する。正整数を用いてとなっているときに証明すれば十分である(とすれば、全単射があるため)。行列の特異値分解を考えることによって、正整…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー2

弱正則化補題 (Frieze, Kannan) を有限集合とし、およびをとる。このとき、, 毎に, 分割が存在して、任意のに対してが成り立つ。これは次の記事で証明する。ここでは、後で使う系を導出する。系 を有限集合とし、および毎にをとる。このとき、, 毎に, 分割が…

セメレディの定理の組合せ論的証明ー1

Szemerédiの定理の証明は既に当ブログで解説済みです:integers.hatenablog.comしかしながら、Szemerédiの定理の証明は異なる分野の数学を用いて複数得られており、その中でも組合せ論的議論により証明したSzemerédiによるオリジナル証明に興味がありました…

k-AP自由数列

-AP自由数列とSzemerédiの定理 を正整数とします。長さの等差数列を含まないような以下の正整数からなる狭義単調増大数列のことをに関する-AP自由数列と呼ぶことにし、に関する-AP自由数列として取り得る最大項数をと定義します。定理 任意の正整数に対して…

Dicksonの予想ととある疑問

素数に関する次のような予想が知られています。自然数はこの記事では正の整数とします。Dicksonの予想 (1904) 自然数に対し、は自然数、は整数とする。もし、「各素数毎に自然数が存在して積はで割り切れない」が成り立つならば、が全て素数となるような自然…

最近の話題

最近の話題 講演 素数の織り成す構造〜ガウスからグリーン・タオへ〜 MATH POWER 2017 - INTEGERSでは時間の都合上、Green-Taoの定理の先にあるものとして未解決問題であるErdős-Turán予想を紹介して終わりました。ここでは既に証明されているGreen-Taoの定…

素数の織り成す構造〜ガウスからグリーン・タオへ〜 MATH POWER 2017

講演スライドを公開します。スライド番号や間違い等は再構成・修正してあります。 スライドはKeynoteで作成し、数式はLaTeXiTを利用して作成しました。 1枚目 2枚目 3枚目 4枚目 5枚目 6枚目*1 7枚目 8枚目*2 9枚目 10枚目 11枚目*3 12枚目*4 13枚目*5 14枚…

グリーン・タオ論文を読み終える

9/6から始めた短期集中連載『等間隔に並ぶ素数を追い求めて』もこの記事で最後となります。integers.hatenablog.comまず、Baudetの予想 = van der Waerdenの定理を証明し、integers.hatenablog.comTaoによる、vdWの定理を用いたSzemerédiの定理の緻密な証明…

グリーン・タオ論文の§10を読む(その二)

この記事でGoldston-Yıldırım型定理Bを証明します。(再掲) Goldston-Yıldırım型定理B (Proposition, 9.6) を正整数とし、をを満たすような相異なる整数とし、とおく。を長さが以上であるような内の区間との共通部分として、と互いに素な整数をとる(以上、以…

グリーン・タオ論文の§10を読む(その一)

§10 Correlation estimates for を読みます。前節において、Goldston-Yıldırım型定理A, Bを証明することに全てが帰着されました。この記事ではGoldston-Yıldırım型定理Aを証明します。ただし、Riemannゼータ関数が関わるコンタワー積分の漸近挙動に関する補…

グリーン・タオ論文の§9を読む(その三)

Goldston-Yıldırım型定理Bを仮定して、が-相関条件を満たすことを証明します。補題 (Lemma 9.9) 正整数パラメータに対して関数 が存在して、次の三条件を満たす: (i)任意の零でない整数に対して である。 (ii)相異なる個の整数を任意にとったときに、が成り…

グリーン・タオ論文の§9を読む(その二)

Goldston-Yıldırım型定理Aを仮定して、が-線形形式条件を満たすことを証明します。命題 (Proposition 9.8) は-線形形式条件を満たす。を代表元をとる関数とする(全成分で代表元をとる写像も同じ記号を用いる)。証明. を正整数とする。分母・分子の絶対値が以…

グリーン・タオ論文の§9を読む(その一)

§9 A pseudorandom measure which majorisies the primes を読みます。(無限版)Szemerédiの定理は整数からなる集合が任意の長さの等差数列を含むための(上漸近密度が正であればよいという)十分条件を与える定理でした。従って、実際に個々のケースで等差数列…

グリーン・タオ論文の§8を読む(その二)

前記事の命題(一般化Koopman-von Neumannの構造定理)の証明はTao(2006)の論文で扱ったエネルギー増加法の考え方で証明されます*1。この考え方に基づいて、構造定理は次の命題に帰着されます。命題 (反復ステップ, Proposition 8.2) を-擬ランダム測度とし、…

グリーン・タオ論文の§8を読む(その一)

§8 A Furstenberg tower, and the proof of Theorem 3.5 を二回に分けて読んでいきます。この記事では、擬ランダム測度に対するSzemerédiの定理 (Thm 3.5)を構造定理 (Prop 8.1)に帰着させます。ここで、改めてTaoによるSzemerédiの定理の証明のスキームを思…

グリーン・タオ論文の§7を読む(その二)

後半で基本Gowers反一様関数達に良い性質を持つ-加法族を付随させる命題を証明します。命題 (Proposition 7.3) を-擬ランダム測度とし、を整数とする。また、は基本Gowers反一様関数、 はパラメータ、は§7(その一)の命題で存在する-加法族であり、とする。こ…

グリーン・タオ論文の§7を読む(その一)

§7 Generalized Bohr sets and -algebras を二記事に分けて読みます。最初は上の-加法族に関する基本用語が述べられていて、Tao(2006) §6(その一)の内容と重複しています。ので、全部省略できますが、前の記事で述べていなかった点を補足しておきます。を上…

グリーン・タオ論文の§6を読む(その二)

後半では基本Gowers反一様関数に関する一様分布性を証明します。定義 を-擬ランダム測度とする。が任意の に対して成り立つような関数 によって と表されるような関数のことを基本Gowers反一様関数とよぶ。とすると、§6(その一)の補題より、十分大きい に対…