インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

定理解説

ジュリアンの森

平面にティーをいっぱい重ならないように生やす話。

有理数近似、 Duffin–Schaeffer予想、そして、Koukoulopoulos−Maynard

Duffin−Schaeffer予想の主張および、それが解決したことの紹介記事。

大野予想

大野予想の紹介。

有限体の存在性に関するSoundararajanの記事

昨日、SoundararajanがarXivに記事をあげていて、さらっと読んだので部分的に紹介する*1。 定理とその証明 次の有名な基本的定理をRamanujanとErdősによるBertrandの仮説の証明を真似れば証明できるということが書かれている。定理 を有限体、を正整数とする…

ベルヌーイ多項式の特殊値に関するキュートな定理

ベルヌーイ多項式はで定義されるのでした。Almkvist-Meurmanが証明した次の定理を紹介します*1。定理 を正整数とする。とおくとき、が成り立つ。ここで紹介する証明はSuryによるものです*2。なお、定理はの場合もであることから自明に成立しています。 ベル…

Chebyshevによる(素数計数関数についての)Legendre予想の否定的解決について

Chebyshevの定理のPintzによる証明。

最密球充填

最密球充填に関するケプラー予想が解決されたことは記憶に新しいが、最近Viazovskaによるブレイクスルーがあり、8次元および24次元でも最密球充填問題が解決したことについて簡単に解説する。

James IvoryとEulerの定理

Eulerの定理の有名な証明に関する歴史とIvoryの定理の紹介。

秋山・谷川アルゴリズム

アルゴリズム まず、正整数の逆数を並べます。 その後、ある計算規則に基づいて一行ずつ下に数列を追加していきます。その計算規則は新しい数列の左から数えて番目の数がで、の上にある数がのとき、と計算されます。この計算規則に基づいて得られる数列の一…

Posetに対するメビウスの反転公式

をposetとする(反射律・推移律・反対称律を満たす)。が局所有限であるとは、任意のに対してが有限集合であるときにいう。局所有限なposet に対して、Möbius関数 をが成り立つように定義する(に対してのみを定義する。はKroneckerのデルタ。well-defined)。定…

代数的数の加減乗除

定義 零でない有理数係数一変数多項式の根となるような複素数のことを代数的数とよぶ。代数的数について、を根に持つ零でない有理数係数一変数多項式の中で次数が最小でモニックなものをの最小多項式といい、の最小多項式の次数をの次数とよぶ。定理 を代数…

高木貞治の論文"Zur Theorie der natürlichen Zahlen"を読む

高木貞治博士の論文を読むシリーズ第二弾です。第一弾はintegers.hatenablog.comでした。今回は高木博士が50代後半の時に出版された論文Teiji Takagi, Zur Theorie der natürlichen Zahlen, Proceedings of the Imperial Academy of Japan, Vol. 7, (1931), …

アックス−グロタンディークの定理

体と正整数に対して、写像が多項式写像であるとは、が存在してが成り立つときにいいます。この記事ではTaoの記事とそのコメント欄を参考に次の定理のSerreの議論に基づいた証明を解説します。定理(Ax, Grothendieck) 多項式写像が単射であれば全射である。Hi…

差分形式と離散ストークスの定理

Stokesの定理の離散版(の一つ)について軽くまとめます。通常のStokesの定理についてはtsujimotter.hatenablog.comをご覧ください*1。 超立方体と差分形式 を正整数とし、次元Euclid空間を考える。 と に対して、をで定める。を固定して全てのを考えた達のな…

奇数の完全数に関するHeath-Brownの手法

奇数の完全数が存在するかしないかというのは未解決問題です。integers.hatenablog.comしかしながら部分的な研究成果は多数あって、例えば1913年にDicksonが「与えられた個数の素因数を持つような奇数の完全数は有限個しか存在しない」ということを証明しま…

少なくとも一つは必ず無理数なんだ。

Apéryは伝説を残した。integers.hatenablog.comその後、2000年を過ぎたあたりにRivoalという天才が彗星の如く現れ、 の中には無理数が無数に存在するということを証明した(Ballと共著でInvent. Mathに掲載されている)。Rivoalは の中に少なくとも一つ無理数…

スターリングの公式

スターリングの公式のRobbinsによる初等的な証明の解説記事。

鞄とその和集合の比較ー1

Cauchy-Davenportの定理 を素数とし、を巡回群の空でない部分集合とする。をと定義する。このとき、次が成り立つ:Cauchy-Davenportの定理 これより、であればの任意の元はの元との元の和として表すことができることがわかる。証明. とする。主張 が成り立つ…

メルテンス関数

Mertens関数はで定義されます。ここで、はMöbius関数です: メビウス関数 - INTEGERS 数値例 の次にMertens関数の値がをとるのはです。など。 Riemann予想 Riemann予想は任意のに対してが成り立つことと同値です。Mertens関数に関するこの評価からRiemann予想…

約数個数関数のラマヌジャンによる評価

この記事は日曜数学 Advent Calendar 2017 - Adventarの14日目の記事です。9日目はasangi_a4acさんによるitonayuta60.hateblo.jpでした。クリスマスが待ち遠しいですね。Advent Calendarの日程も半分を超えていますが、クリスマスまでもう少しの辛抱です。今…

孙智伟による素数表現関数

この記事は日曜数学 Advent Calendar 2017 - Adventarの10日目の記事です。9日目はru_sackさんによるhttp://stagnationpoint-y.tumblr.com/post/168336222377/prime-knot-912-150mm-150mm-%E9%89%9B%E7%AD%86-%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%AB%E7%B5%B5…

モーリーの定理

この記事では1899年にFrank Morleyが証明した初等幾何学に関するMorleyの定理のAlain Connesによる証明を解説します。Morleyの定理についてはmathtrain.jpを参照してください。 エピソード Connesがこの証明を発表するに至った経緯には少し面白いエピソード…

カタラン予想の簡単な場合

この記事では正の整数のことを自然数と呼ぶことにします。記事integers.hatenablog.comで証明したEuler-Legendreの定理を思い出します。定理 (Euler, Legendre) 方程式が整数解を持てば、またはが成り立つ。今回はこの定理から簡単にわかる帰結を紹介します…

立方数からなる非自明な長さ3の等差数列は存在しない。

次の古典的Diophantus方程式を紹介します。定理 (Euler, Legendre) 方程式が整数解を持てば、またはが成り立つ。これはFermatの最終定理の指数がの場合の方程式のに係数をつけたものになっています。Fermatの最終定理の形の方が綺麗に感じるかもしれませんが…

xxxx+9xxyy+27yyyy=zz

この記事では、正整数のことを自然数と呼ぶことにします。定理 方程式は自然数解を持たない。Wakuliczによる初等的な証明(Fermatの無限降下法)を紹介します。補題1 方程式の正の有理数解に対して、とし、互いに素な自然数を用いてと表すと、が成り立つ。証…

友愛数密度零定理

以前、素数の密度がであることを証明しました:integers.hatenablog.comこの記事では友愛数の密度がであることのErdősによる証明を紹介します。友愛数密度零定理 (Erdős) 自然数全体における友愛数全体の密度はである。が友愛数であるとは、が成り立つことで…

調和級数の発散証明

調和級数が発散することの証明は16843:ウォルステンホルム素数、調和数、調和級数、オイラーの定数 - INTEGERSに書いていますし、マスオさんも三通り紹介されています:mathtrain.jp今回紹介する次の証明はLeonard Gillmanによります: Gillmanによる証明 …

素数密度零補題

素数定理は素数分布に関する歴史的定理ですが、これからより定性的な次の結果が従います:系 (素数密度零補題) 次の極限公式が成り立つ:integers.hatenablog.comに書いたように、この結果は素数の関わる問題を解く際などによく使われますが、素数定理という…

バーゼル問題の短くはないが好きな証明

バーゼル問題の証明法はたくさん知られています。当ブログではEulerの方法と高校数学のみを用いる証明を紹介しただけでした。integers.hatenablog.com最も短い証明の一つはfibonacci-freak.hatenablog.comで紹介されています。も もともに周期なので、intege…

n次元球の体積

半径 の次元球の体積を とします。定理 ここで、はガンマ関数です(階乗とガンマ関数 - INTEGERS)。補題1 は に比例する。証明. に関する帰納法で証明する。のときは なので成立する。のときに主張が正しいと仮定する。であり、帰納法の仮定より なので、と …