インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

定理解説

モーリーの定理

この記事では1899年にFrank Morleyが証明した初等幾何学に関するMorleyの定理のAlain Connesによる証明を解説します。Morleyの定理についてはmathtrain.jpを参照してください。 エピソード Connesがこの証明を発表するに至った経緯には少し面白いエピソード…

カタラン予想の簡単な場合

この記事では正の整数のことを自然数と呼ぶことにします。記事integers.hatenablog.comで証明したEuler-Legendreの定理を思い出します。定理 (Euler, Legendre) 方程式が整数解を持てば、またはが成り立つ。今回はこの定理から簡単にわかる帰結を紹介します…

立方数からなる非自明な長さ3の等差数列は存在しない。

次の古典的Diophantus方程式を紹介します。定理 (Euler, Legendre) 方程式が整数解を持てば、またはが成り立つ。これはFermatの最終定理の指数がの場合の方程式のに係数をつけたものになっています。Fermatの最終定理の形の方が綺麗に感じるかもしれませんが…

xxxx+9xxyy+27yyyy=zz

この記事では、正整数のことを自然数と呼ぶことにします。定理 方程式は自然数解を持たない。Wakuliczによる初等的な証明(Fermatの無限降下法)を紹介します。補題1 方程式の正の有理数解に対して、とし、互いに素な自然数を用いてと表すと、が成り立つ。証…

友愛数密度零定理

以前、素数の密度がであることを証明しました:integers.hatenablog.comこの記事では友愛数の密度がであることのErdősによる証明を紹介します。友愛数密度零定理 (Erdős) 自然数全体における友愛数全体の密度はである。が友愛数であるとは、が成り立つことで…

調和級数の発散証明

調和級数が発散することの証明は16843:ウォルステンホルム素数、調和数、調和級数、オイラーの定数 - INTEGERSに書いていますし、マスオさんも三通り紹介されています:mathtrain.jp今回紹介する次の証明はLeonard Gillmanによります: Gillmanによる証明 …

素数密度零補題

素数定理は素数分布に関する歴史的定理ですが、これからより定性的な次の結果が従います:系 (素数密度零補題) 次の極限公式が成り立つ:integers.hatenablog.comに書いたように、この結果は素数の関わる問題を解く際などによく使われますが、素数定理という…

バーゼル問題の短くはないが好きな証明

バーゼル問題の証明法はたくさん知られています。当ブログではEulerの方法と高校数学のみを用いる証明を紹介しただけでした。integers.hatenablog.com最も短い証明の一つはfibonacci-freak.hatenablog.comで紹介されています。も もともに周期なので、intege…

n次元球の体積

半径 の次元球の体積を とします。定理 ここで、はガンマ関数です(階乗とガンマ関数 - INTEGERS)。補題1 は に比例する。証明. に関する帰納法で証明する。のときは なので成立する。のときに主張が正しいと仮定する。であり、帰納法の仮定より なので、と …

ガウス・ルジャンドルの三平方の定理

私の整数好きを決定付けた本があります。水上 勉 (著), 黒川 信重 (監修)『チャレンジ! 整数の問題 199』単行本 – 2005/4, 日本評論社私は高校生のときにこの本を夢中になって読みました。思えば、高校生の私をワクワクさせてくれたこの本の続きを書いている…

ヤコビ記号

Jacobi記号について簡潔にまとめます。Legendre記号、平方剰余の相互法則についてはintegers.hatenablog.comをご覧ください。定義 を正の奇数とし、をと互いに素な整数とする。このとき、Jacobi記号 を次のように定義する: まず、とし、とが素因数分解され…

ミンコフスキーの凸体定理

所謂"数の幾何学"における基本的定理である、Minkowskiの凸体定理を紹介します。を正整数とし、この記事ではの格子としてのみを扱います。また、体積について厳密にはRiemann積分論などを用いて証明する必要がある事実を断りなしに使います。Minkowskiの凸体…

算術級数の素数定理

昨年、Dirichletの算術級数定理の証明を紹介しました。Dirichletの算術級数定理 を互いに素な正整数とする。 このとき、 の形で表される素数は無数に存在する。integers.hatenablog.com特殊な形に限定した場合の素数の無限性は未解決問題が多いのですが、算…

相異なるr個の素数の積で表されるような数の個数に関するランダウの定理

以前、Ramanujanの不等式integers.hatenablog.comを紹介した際に証明を割愛したLandauの定理定理 (Landau) 、は正の整数とし、を相異なる個の素数の積として表せる以下の数の個数とすると、が成り立つ。の証明を紹介します。 記号 幾つかの補助的関数を導入…

Weyl Differencing

Weyl DifferencingによってWeylの一様分布定理を二次式の場合に拡張しましょう。記号: 実数に対して、に一番近い整数との距離をと表し*1、とします ()。補題1 を任意の実数とし、を正の整数とする。このとき、が成り立つ。証明. 三角不等式よりが成り立つ。…

ソフィー・ジェルマンの定理

Fermatの最終定理に関するSophie Germainの定理とその証明を解説します。前回の記事でSophie Germainによるグランドプランが失敗に終わったことを紹介しました:integers.hatenablog.comしかし、彼女は転んでもただでは起きません。奇素数を固定します。グラ…

フィボナッチ数とp進数

を番目のFibonacci数とします:integers.hatenablog.comに対して、二つのFibonacci数の商からなる集合をと定義します。黄金比をとするとき、Binetの公式よりの元はにおいての整数乗の近くにしか分布しません。一方、次が成り立ちます:定理*1 任意の素数に対…

パワフル数に関するMcDanielの定理の証明

パワフル数に関する記事integers.hatenablog.comで紹介したMcDanielの定理定理 (McDaniel 1982) でない任意の整数に対して、その数を二つの互いに素なパワフル数で表す表し方が無数に存在する。の証明を紹介します。を平方数でないような整数とし、正整数に…

孙智伟さんによる新作定理

を以下の素数の個数、を番目の素数とします。なのでが成り立ちます。また、よりが成り立ちます。こういったものは数遊びですが、次のようにまとめると数学の定理らしくなります:定理1 を以上の整数とする。このとき、或る正の整数が存在してが成り立つ。こ…

Golombの定理

素数個数関数に関するGolombの定理を紹介します。証明に使うのは –①のみです。これは素数定理から出ますが、素数定理を用いることなく初等的に導出できる点には注意しておきます*1。は番目の素数を表します。定理 (Golomb, 1962) を以上の任意の整数とする。…

高木関数

今、目の前に高木貞治博士の論文集があります。高木貞治博士が28歳ぐらいのときに出版された論文T. Takagi, A simple example of a continuous function without derivative, Proc. Phys. Math. Japan, (1903) Vol. 1, pp. 176-177.は一ページ半に満たないも…

ウェダーバーンの定理

環と言ったら可換環のことを指すというようなことはなくて、普通は非可換環も含めて環なので、可換環しか扱わないような場合は最初に明言する必要があります。を持つかなども基本的には書かなければなりません。一方、体と言ったら普通は可換体を表します。…

Zsigmondyの定理

高校数学の美しい物語さんの記事mathtrain.jpを初めて見たとき、一つだけ知らない定理がありました。それがZsigmondyの定理です:Zsigmondyの定理 を互いに素な自然数とし、を以上の整数とする。このとき、およびかつがの冪であるという例外ケースを除いて、…

「√2+√3+√5+√7は無理数である」など

この記事は日曜数学アドベントカレンダーの17番目の記事です。http://www.adventar.org/calendars/1777www.adventar.org昨日の記事はToshiki Takahashiさんのhttp://www.ac.auone-net.jp/~nanyaka/belabela.htmlでした。 今日は、キグロさんの20日の動画の予…

関-ベルヌーイ数の第二種Stirling数を用いた公式

関-Bernoulli数は第二種Stirling数を用いて表すことができます。関-Bernoulli数については関-ベルヌーイ数 - INTEGERSを、第二種Stirling数についてはBell数の母関数表示と第二種Stirling数 - INTEGERSを参照してください。関-Bernoulli数は一つ目の記事で紹…

局所有限性に関する補題

定義 位相空間の部分集合族が局所有限であるとは、の各点が高々有限個のの元としか共通部分を持たないような近傍を持つときにいう。補題1 を位相空間、をの局所有限な部分集合族とし、の元は全て閉集合であるとする。このとき、も閉集合となる。証明.をの補…

ラッキー数定理

この記事ではラッキー数を紹介します。Wikipediaでは幸運数という訳語で紹介されていますが、Eulerの幸運数とは異なるものです。Eulerの幸運数についてはtsujimotter.hatenablog.comを参照してください。 ラッキー数の定義 素数はEratosthenesの篩という篩に…

ディリクレの算術級数定理のL関数を用いない証明

記念すべき250記事目ということで、整数論における極めて有名な次の定理の証明を解説します:Dirichletの算術級数定理 を互いに素な正整数とする。 このとき、 の形で表される素数は無数に存在する。 初等的証明が知られているケース 算術級数定理の証明を知…

オイラーの五角数定理の証明

Eulerの五角数定理は非常に美しい定理です。収束半径はですが、形式的冪級数の等式と考えるのがよいでしょう。この定理は過去の記事で一度使ったことがあります: integers.hatenablog.comEulerの五角数定理より偉い定理であるJacobiの三重積というものがあ…

ディガンマ関数とリーマンゼータ

ディ(ダイ)ガンマ関数はで定義されます。ガンマ関数については階乗とガンマ関数 - INTEGERSを参照してください。 Weierstrassの無限積表示の対数をとると(ガンマ関数の極は避ける) ー①が得られ、微分することにより ー②が得られます*1。更にならが成り立つの…